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気になる言葉がある。

Far East 、つまり極東という言葉。

多分、アメリカのラジオで昔から使われてると思う。
アメリカから見たら日本は太平洋を挟んで西にあるのに、
何で 極東 (Far East Japan) なのだろう。

そもそも、「極」という字が意味しているのは、そこが「最果ての極地」だと言っているのだ。

そんな言葉で呼ばれるのは、日本以外に南極と北極ぐらい。

日本がアメリカあるいはヨーロッパから「最果て」扱いされるのは、
何も地理的なことではなく、
彼らからした文化の最果てという感覚が背後にあるからだろう。

一見、世界の全てが近くなった様に感じる現代ではあるけど、
実は我々日本人の文化は最果ての地にある独特なものである事を、
知っているのは有意義だ。



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2020.03.31 Tue l ダンス・動作の考察 l コメント (0) l top
以前、世界で活躍する「人形使い」の日本人がテレビで紹介されていた。

我々ボールルームダンサーにとって英国が聖地である様に、
西欧ではチェコが盛んであり、彼もそこで修行した様だ。

振り返れば、日本にも文楽、人形浄瑠璃という
人形劇の文化がある。

テレビを見ていてふと思った。

西欧の人形劇と、日本の人形劇に決定的な違いがある。

一般にマリオネットと言われる西欧の人形劇は、
上から人形を操作する。

文楽や人形浄瑠璃という日本の人形劇は、
下から人形を操作する。

同じ人形という擬似身体を前にして、何故アプローチが反対なのだろう?

何故、という答えを考えるより、もっと興味をそそられるのは、
果たしてそのアプローチの違いは、人形にだけなのか? 
…ということ。

自らの身体を道具として扱うダンサーにとって、その身体へのアプローチはどうなのか?

どうなのか?


2020.03.31 Tue l ダンス・動作の考察 l コメント (0) l top

「日本の踊りは金魚すくい」

腰を落としてしゃがみ、ぽいと呼ばれる紙の輪を
静かに潜らせ、素早くだけど柔らかに掬い上げる。

子供の頃、縁日でやったなぁ。

この「掬い上げる」という動作は、日本文化だと思う。

夜、風呂場でシャワーを浴びながら思った。
自分の子供の頃、シャワーじゃなく、桶だったよなあ。

銭湯に行っても、シャワーの付いている席は少なかった。
親父も、周りの大人も、桶に湯を汲みジャバジャバかけていた。

しゃがんだ姿勢で、湯を桶に入れ、掬い上げて頭からかける。

このしゃがんだ姿勢で「掬い上げる」という技、
これが国技にまで高められたられのが、相撲。

掬い投げ、何て技まである。

金魚すくいも、西欧人からしたら、単なる動物虐待にしか見えないかも。

水の様にはかない紙を、静かに潜らせ
限りなく柔らかい力で掬う。

石の国の民族、西欧人には出来ない芸当かな。

そんな文化から生まれた、踊り。
身体の深いところで「しゃがんで、掬い上げる」記憶が
日本人の中に脈々と生きている。

2020.03.31 Tue l ダンス・動作の考察 l コメント (0) l top
前回の「しゃがむ」話の続き。

しゃがむと言う行為を、そもそも日本人は何でするのでしょう?

私が思うに、それは「探る」行為。
しゃがんで、足場を確認する行為。

足場とは地面。
実は日本の土地は、西欧のそれとは大きく異なります。

日本の地面を掘れば水が出る。
西欧の地面を掘れば石が出る。

日本は Soft Land、そこに建つのは木の家。そこに続くは土の道。
西欧は Hard Land、そこに建つのは石の家。そこに続くは石畳。

同じ陸地ではあっても、実はかなり性質が違うんです。

当然、そこに寄って立つ民族の立ち方、歩き方も異なります。
これは、適応の結果です。

日本人には、O脚が多く
西欧人には、X脚が多い のもその結果。

柔らかい Soft Land で生まれた民族舞踊が、お神楽であり、舞踏。
硬い   Hard Land で生まれた民族舞踊が、バレエであり、ジャズダンス。

地面とは人が立ち、動き、活動する上で、絶対に必要な「抵抗」を生む唯一無二のものです。
言うなれば魚にとっての水。

水分の多い柔らかい土地に生きてきた日本人は、
実はその抵抗が不確かで、不安定にあると言えます。

石という、必ずそこにあり、その時そこから必要な抵抗が得られる
硬い土地に生きている民族とは、大きな違いがあります。

不確かな地面に住む民族は、まずその抵抗を探し、確認すべく、
腰を落とししゃがむという体勢を取るのです。
無意識に。

そして足場を確認してから、その足場を押して、上に上がるという行為に繋げます。

ですから、足場が確定している西欧の民族に比べ、探す分だけ動作がワンテンポ遅れます。


話は脱線しますが、現在大変憂慮されている新型コロナ。
それへの対策方法は、国によってかなり違いを感じます。

日本は欧米で取られているロックダウンという方法をまだとっていません。
つまり、タイミングや最善方法を探っているのだと思います。

そして、仮に緊急事態宣言が出ても、
日本の法律には欧米の様な罰則規定が無いそうです。

これが日本のやり方なのでしょよう。

探って、柔らかい方法を取る。大きな力には大きな抵抗が生まれます。
良い意味で、大きな抵抗を生まずに、皆んなの自主的な協力のもと
上手に成し遂げる方法があるのかもしれません。

その事を祈って。


2020.03.30 Mon l ダンス・動作の考察 l コメント (0) l top

最近思う事に「無意識の振る舞い」がある。
私達日本人にとって、無意識の内にしてしまう、ある行動がある。

それは、「しゃがむ」こと。

別の言い方をすれば、日本人が持つ特殊技術ともいえる。
何かをしようとする時の、直前の身構え方ともいえる。

あまりにも自然で無意識に行われるので、
そうしている事に自分も、周りも気が付く事は無い。

踊る時にも、しゃがんでから何かをしようとする。

それに対して、西欧人の無意識の振る舞いは「引き上げる」こと。
彼らは無意識に引き上げ、それから何かをしようとする。
彼らの身構え方なのだ。

何故、日本人と西欧人でその無意識の振る舞いが違うのだろうか?
それはその後の目的とする動きの向きが反対だから。

日本人はしゃがんでから「掬い上げる」文化。
掬い上げる、下から上のエネルギー。

西欧人は引き上げて「上から叩く」文化。
上から叩く、上から下のエネルギー。

例えば食事。

日本人は食べ物をお椀に入れ、お椀そのものを下から持ち上げて口元に運ぶ。
西欧人は食べ物をお皿に載せ、ナイフとホークで上から切り刻み、上から刺してから
口元に運ぶ。

エネルギーの流し方が違う。
方向が反対。

カップルのレッスンをしていて、よ〜く観察していると、
やろうとすればする程、「しゃがんで」から何かを処理しようとする動きが分かる。

これは良し悪しの話ではなく、私達日本人の無意識の振る舞いであり、文化なのだ。

実は自分達とは何か、何をしているのか、を探求する事は愉しい。






2020.03.30 Mon l ダンス・動作の考察 l コメント (0) l top