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イギリスで、毎年開かれる大きな競技会がいくつか有る。
日本からも毎回多数の選手が出場するそのうちの一つに、
昨年、審査員として初めて参加した。

多分その時の私は、選手以上に緊張していたと思う。
と言うのも、この大会を審査するのは、誰も皆、元世界チャンピオンや、
ファイナリストクラスなので有る。

急遽、日本の高名な先生の都合が悪くなり、ピンチヒッターとして立たされたとは言え、
その場にいる事に、正直生きた心地はしなかった。

私が審査したのはライジングスター戦。
ライジングスターとは言え、トップ選手数組がいないだけで、
そのレベルは相当高い。

果たしてこの伝統ある大会を審査するとは、どういう風なのであろうか?
不安、不安、不安…の中に責任と、楽しみな気持ちが同居していた。

今や競技ダンスの世界も、ヨーロッパや日本など一部の地域のものではなく、
ロシアをはじめとする東欧諸国、中国、韓国、台湾といったアジア諸国、その他、
要は世界中から大勢の選手が参加する。

一次予選開始。…審査員の採点シートが配られる、見慣れた日本のそれと違い少し戸惑う。
目の前をスピードに乗った選手が通り過ぎる。
一瞬、ボーっとする。
い、いけない! 今日は観客じゃないんだ。

この中から誰を拾うか、自分が判断するのだ。
判断には根拠が伴う。
「何故、良いのか」その理由だ。

もちろん理由をいちいち書く必要はないが、何となくでは許されない。
数年前まで選手だった自分の中に、踊っていた時の気持ちがよみがえる。
目を凝らし、全身の神経を尖らして目の前の動きを追う。

選手も夢中だが、自分も夢中だ。
余裕なんか一切無い。
…一次予選が終わる。
タキシードの下は汗でびっしょりだ。

二次予選が始まるまでの間、ボーとした。
あれで良かったんだろうか?
自分の判断は正しかったのか?

以前、先輩から聞いた話を思い出す。
…観客としてこのクラスの試合を見ていると、皆上手に見えるんだよ。
「あ~、あの選手イイね」
「う~ん、あれも上手いんじゃない!」なんて、

でも、審査員としてフロアに立つと、変わるんだ。
目に入る踊りと、目を覚ました自分の体内感覚が会話を始める。
審査しながら、体の中では踊っているのだ。

すると、観客の時には、ただイイなーと思っていたそれが、
「いや、俺ならこうする!」
「う~ん、こういうタイミングの方が…」
という具合に変わる。

確かに、一次予選の審査を終えた僕の頭と身体は、
まるで踊った後の様だった。

…つづく。
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2011.09.18 Sun l つれづれ l コメント (0) トラックバック (0) l top

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